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最後のデモシカ教師の不謹慎発言

かつて教師に「でも」なるかぁとか、教師に「しか」なれない、という理由で教師になり、学校現場に彩りを与えていたデモシカ教師。そのデモシカ教師の目で現在の教育の裏をあばき、悪態をつく(だけ)!なお、このブログはリンクフリーです…

仰げばとうとし

 悲しいことに、学校の音楽の時間に昔から歌い継がれてきた素晴らしい歌が次々に教えられなくなっている。時間がない、文語体の歌詞の意味が生徒に理解できない、歌われている風物そのものが消えてなくなった…など、様々な理由があり、やむを得ないところもなきにしもあらず、であろうか。
 「仰げばとうとし」もその一つである。この歌には特に教師の間で反感が強い。
曰く。「仰げばとうとし、我が師の恩」だなんて、恩着せがましい。そんなのを強制して歌わせるなんておこがましい。聞いていて照れくさい。恩義に感じてもらえるほど生徒に何かをしてやれたわけじゃない、本来こんな歌にして表現するもんじゃない…

バカ言ってんじゃねえ!!!てめえら、それでも教育者か??

と、まずは意見を表明しておこうか。これまでも職員会議でそういうガキっぽい意見(というより感情論)を何回か粉砕してやったさ。

 とは言え、そういう私も、かつて新任の中学校で、ずっと卒業式に歌われていた「仰げばとうとし」を、しかも職員会議での反対を押し切って歌わないことにしてしまった。代わりに「大地讃頌」を取り入れた。今にして思えば、痛恨の若気の至りである。
実は、今の教師連中がバカだから(という言い方が乱暴なら、本質を見抜く目を養うことをしなくなった、とでも言い換えるか?)教えることができないというだけであって、「仰げばとうとし」の精神は、そんなちっぽけなことではないのだ、と、今にして思う。だって、明治時代の人が「自分たちに恩を着せる」歌を作ると思いますか? 岩波でも講談社でも、「日本唱歌集」をちょっとひもとけば、明治の先人の、子ども達への慈愛に満ちた歌がきら星のように並んでいますよ。その精神のどこから恩着せがましさが出てくるのか。

 そもそも、「仰げばとうとし、我が師の恩」を、単純に「学校の先生に対する感謝」と置き換えること自体とんでもない思い上がった間違いなのだ。
 「師」とは誰をさしているのか。それを歌う人は誰なのか。聞くのは誰なのか。卒業式の場面を思い浮かべてほしい。この歌が学校現場から急速に消えていった時期に、特に年配の人を中心に卒業式でこの歌が聴けなくなったことを惜しむ声が多く聞かれた。歌を聴いているのは学校の教師だけではないのだ。地域の人。保護者。つまり多くの「大人」である。その「大人」たちにだって「先生」がいるのだ。その先生とは小中学校・高校時代の教師、大学の指導教官、部活の先輩、就職して仕事の手ほどきをしてくれた人、会社の上司、趣味の先達、私淑している偉大な人、人生の先輩としての父母・祖父母、等々々…ありとあらゆる自分に関わってくれた人が「師」ではないのか。その心にしまっている大切な大切な先生方を、滅多にない「卒業式への参列」という機会にふと思い出す。それがこの歌の偉大なところなのだ。ありとあらゆる人にとって「我が師」が存在しないということは絶対にないはずだ。つまりその場にいる誰もが心の中で一緒に歌える歌。こんな優れた過去の遺産(しかも音に出せば生き返る)がそうそうその辺に転がっているものですか? だから、少なくとも学校からこの歌を放逐してはいけなかったのだ。だって、卒業式ぐらいしか歌う機会がないんだから。

 私の勤務校では卒業式で「仰げばとうとし」を歌います。私は生徒たちに言います。「僕も本当は照れくさいよ。だけど、君たちにとっての先生って、中学の教師だけじゃないでしょ?塾の先生やピアノの先生、小学や幼稚園の時の先生。サッカーのコーチ、家庭教師、その中には本当に尊敬できる先生が一人ぐらいはいるでしょ?この歌を歌うときはその人に向かって歌ってくれよ。」

 そういう、最も大切にしなければならないはずの「心」を忘れた証明として「仰げばとうとし」はこの日本から消えつつある。でも、俺はもうやめるつもりはないよ。この歌を聴いて、ま~だ気恥ずかしさを感じる先生方は、生徒がアンタのために歌ってくれるのを我慢してちゃんと聴きやがれ!そして力一杯その気恥ずかしさを噛みしめてもらいたいね。で、「ああ、コイツらに俺はなんにもしてやれなかった…」と臍をかんで、悔し涙を流してくれたまえ。(もしかしたらこの歌はそのためにあるのかもね。)
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