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最後のデモシカ教師の不謹慎発言

かつて教師に「でも」なるかぁとか、教師に「しか」なれない、という理由で教師になり、学校現場に彩りを与えていたデモシカ教師。そのデモシカ教師の目で現在の教育の裏をあばき、悪態をつく(だけ)!なお、このブログはリンクフリーです…

伝統、もとい「悪しき習慣」との格闘

 先日卒業式があり、3年生が巣立っていった。今年この学校に異動してきた俺は、ついにこの3年生達としっくりいかないまま(というより反目したまま?)、1年間の音楽の授業を終えざるを得なかった。
 さて、卒業に当たって、お世話になった先生に感謝のメッセージを送りましょう、という企画があって、何人かの生徒が俺宛にもメッセージを書いてくれたのだが、その中に、
「先生のせいで音楽が嫌いになりました。」
「この学校の伝統をぶっ壊されたみたいな気がしました。」
「もっと生徒の気持ちになって考え直した方がいいですよ。」
「P~先生(前任者)の時の方がずっとよかった。」
みたいな「お便り」が複数あった。言ってくれるじゃねぇか。「感謝の」とわざわざ断っているのにこんなことを平気で書いてくる失礼な感覚(しかも無記名)、これは現代のガキどもの困ったところかもしれないが、まあ書く必要のない場面で積極的かつ確信犯的に書いてきた、というところはなかな興味深いことである。何しろ、俺がこんなことを言われたのは何十年も前の新任の時以来だからな。それに、確かに俺は「面白い(interestingじゃなくてfunnyという意味:今時の生徒はそういうのじゃないと食いついてこないのよ)授業」というのは苦手だし。

 そもそも、この中学校は地域でも有名な(それも悪い意味で)「合唱の盛んな」中学校なのである。なにしろ、朝の学活は合唱。生徒集会も合唱。道徳の時間も合唱。学活も合唱。掃除の時間にはみ出しても合唱。放課後も下校時刻過ぎまで合唱。その一方で、服装に代表される校則はとっても「自由」。合唱さえやってれば何やったって自由なのよ、というムード満点の学校だったらしい。一度なんか、卒業式を3年生が途中から乗っ取っちゃってほとんど合唱祭のような有様になって30分以上も延々とやらかし、来賓がトイレに行けなくて往生し、居合わせた県議があとで県教委に文句を言って騒ぎになったこともあったという(本当の話)。過年度の合唱祭の反省なんかを見ても、保護者から
「歌がうまくっても舞台マナーは最低」
なんてアンケートに書かれていたようだし。俺も10年ぐらい前に勤務していた学校にたまたま招待状が来たので見に行ったことがあるのだが、まあ、やってる本人達は、(自分たちは上手だ)と思いこんでいるのはよくわかるんだけど、実際そう大してうまくはないな、という印象だった。つまり一言で言ってマスターベーション。それなのに教員の方も、生徒のこういう自堕落で勝手な動きを「自主性に富んだ活動」と読み違えをして、積極的に支援していたというのだから病膏肓である。この学校に勤務していた教員の中には、ここの合唱祭の独特のやり方や雰囲気を異動先の学校に移植しようとして大顰蹙を買っている人も多いという。

 結局のところ、俺のせいでコイツらが「音楽(の授業)が嫌い」になるのは、実は当然なのだ。何しろ、こんな現実はブッ潰してやる!俺はヒールに徹するぜ、という覚悟をかためつつ授業を始めたからな。それに「音楽」というものに対する考え方が根本的に違うんだよ、前任者と。

 前任者のP~先生は、実は我が県の教育課程とかそういう関係の出版物の執筆とか研究活動とかいろいろしていて、県の中学校音楽教育では名の知れたヒトである。今年度指導主事として委員会にご栄転なさったので、俺がその後釜に据えられたのだ。まあ、授業の仕方も能率的かつ上手で生徒の興味を引きつけて放さないんだろうな~、みたいに思っていた。実際ずいぶん生徒から好かれていたみたいだし。
ところが、現実は違ったのよ。第一、P~はそれまで使っていた音楽室の派手な掲示物とか意味のわからない飾り付けとか廃棄すべき大量の備品とかをそっくりそのままにして異動して行きやがった。失礼千万である。俺の4月はまたしても音楽室の後片付けから始まったのだ。

そして、いったい彼は音楽を何だと思っていたのか。

 まず、合唱の授業をしていると生徒からこんな要求が頻発する。
「センセー、ホニャララ(曲の名前)が歌いたい!」
そのホニャララという曲(複数ある)は、合唱の発声にあんまりよい影響を与えないことから、俺が自分のカリキュラムから注意深く外してきたものばかりなのだ。なんだかセンスないな~。そして
「いや、その曲は…」
と言えば生徒は当然
「毎年この歌を歌うのは伝統なのに、なんでですか?!」
と聞いてくる。となるとどうしても選曲した前任者の感覚を否定することにつながってしまう。前任者を否定するのは生徒から嫌われる一番簡単かつ効果的な方法だ。さらに、ある意味よく訓練されていることで一見上手そうに見えるこの人たちの合唱は、当然のことながらよく聴くと技術的に極めて問題が多い。言葉の下手な俺はついそれを表に出してしまうので、よけいに嫌われちゃうのだ。困ったのう。

 次に多く聞かれた言葉。これが実は最も問題だ。
「P~先生の授業はとにかく楽しかった。
音楽はまず楽しくなければいけないでしょ。
 以前にも書いた通り、学校というところは必ず楽しくなければいけないのか?俺は真っ向から反対である。知識が満たされる快感、技術が高まる充実感こそを「楽しさ」と規定すべきであり、つまり数学や英語が楽しいと感じるのと同じ意味で、音楽だって楽しくなければならない。「まず楽しくなければ」なんてのは極めて低レベルな発想じゃないか。P~はそんなことをいつも生徒に言っていたのか?そんなんだったら、お笑い芸人のバカ番組でも見てた方がよっぽどいいだろ。それに、そんな考えが嵩じれば生徒にとって好きな曲ばっかりがカリキュラムの中にあふれかえる事態になっちゃうし、もっと嵩じれば、「自分が楽しいと思うことだけしかやらないでよい」というユトリな方向に音楽室の枠を超えて生徒は突っ走ってしまい、正常な教育活動だってやりにくくなるんじゃないのか。(実際学校がそうなっていたんだろ:ウチの校長~けっこう切れ者~も「この学校の悪いところはすべて音楽から発しています」と常々つぶやいている。)そういうレベルの低い思想から発している、しかも音楽的にセンスのない授業を自分のキャラクターと話術でうまくごまかして生徒を丸め込む力量は俺にはないが、それに慣らされた生徒だっていい面の皮ではないのか。

さらにトドメの一撃、
「先生は何で褒めないんですか?P~先生はいつも褒めてくれました。私たちは褒められることで伸びるんですよ!」
指導することで上達する。それは褒める対象にはなるし、そういうのはいつだって褒めているつもりだが、うまくもないものを褒めるのは苦手である。俺が指導したことを聞きもしないで勝手なことばかりやって
「褒めてください」
と言われたって、味噌汁で顔洗って出直してくれば、ぐらいのことしか言ってやれないんだよな~。残念でした。
 第一、人様に「褒めてくれ」と強要するなんて、何という行儀の悪さ。どういう教育を受けてくればこうなるのか、親の顔が見たいわ!…いや、教師の顔か。何をやっても褒めてもらえるんじゃ、子供なんてどんどん堕落するわな。

結局、P~先生の(過去4年間で)したことと言えば、それまでの勝手気ままな「悪しき習慣」を「伝統」の名の下にそこそこに形を壊さずに守ってやって、生徒との間に波風を立てないようにしていただけではないか。何というくだらない野郎だ。

 というわけで、俺はこの1年間、労多くしてなかなか効果の上がらない教育活動をえっちらおっちら続けてきて、挙げ句の果てに
「先生のせいで音楽が嫌いになりました。」
とさげすまれるに至ったのだ。もう放っといてくれ!
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テーマ:子供の教育 - ジャンル:学校・教育

コメント

こんばんは。

とても興味深い記事でした。
どうかあと2年でこの学校を変えてあげてください。
逃げないで。

  • 2011/03/18(金) 00:48:20 |
  • URL |
  • kurazoh #-
  • [ 編集 ]

 実は、1年生はかなりいい雰囲気で授業ができているのです。2年後は見てやがれ!的な気持ちではいますよ。今後は一番面倒なのは、保護者・地域かな~と思っています。

  • 2011/03/19(土) 21:17:22 |
  • URL |
  • crabfaceguy #-
  • [ 編集 ]

よくわかるような気がします

はじめまして、ご苦労わかるような気がします。
いろいろな関係で、あちらこちらの中学校を訪問したことがあります。
音楽は好きなようにやればいいと思うのですが、どう見ても変だとということをやっているようなところがあります。
合唱コンクールだというので、体育館へ入るまでに、あちこちのクラスが練習していました。
庭で練習しているクラスを見たら、指揮者が柔軟体操のような指揮をしていました(両手で肩の関節をグルグル回していました)とても奇妙でした。ところが、どのクラスもそのようにやっていて、もっとビックリしました。
誰かがやりだしたのが流行ったのか、先生がそう指導したのか(まさかとも思いましたが)、いくらなんでも変だなあと思いましたが、校風みたいなもので、その学校では、そのようにやるのが普通に身についているようです。合唱自体も奇妙でしたが、そういうところへは何か、親切心で助言してあげるのはよくないようです。
音楽としては変でも、それが音楽だと思ってしまっているようです。
中学校は、そういう伝統が染み付いているところがありますね。
黙ってやるしかないと思います。

  • 2011/03/26(土) 22:23:56 |
  • URL |
  • dolce #qbIq4rIg
  • [ 編集 ]

 同じ市の隣の中学校の合唱祭では、指揮者がまるっきりの「サル踊り」を踊ります。もはや滑稽としか言いようがありません。(踊らされる生徒が可哀想~いいと思ってるんだもんね)そこの音楽の先生は、私と同年代の男性教諭ですが、はっきり言って力のないヒトです。力量がない音楽教師の常套手段じゃないんですかね、「生徒主体の」なんてお題目を掲げて何もかも生徒とクラス担任におっかぶせて、にせものの「完成した喜び」みたいなものをでっち上げるのは。
 ある意味それもありなのかも知れないけど、俺たちは「学活専科」の教師じゃない、「音楽」の教師です。何でもかんでもやる小学校と違ってわざわざ「専科」として学校に貼り付けられてる人材なんですけどねぇ。
 そういう自覚を忘れてしまっているんだかなんだか、本当に美しい、本当に重厚な、人間が作り上げてきた「本物」の高みへと生徒を導いていく努力から遠ざかるようなことでは、音楽教師としての矜持というか、存在意義そのものが問われてしまうんじゃないんですかね。

  • 2011/03/27(日) 19:49:59 |
  • URL |
  • crabfaceguy #-
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