最後のデモシカ教師の不謹慎発言

かつて教師に「でも」なるかぁとか、教師に「しか」なれない、という理由で教師になり、学校現場に彩りを与えていたデモシカ教師。そのデモシカ教師の目で現在の教育の裏をあばき、悪態をつく(だけ)!なお、このブログはリンクフリーです…

個人的にキライな生徒

 学校の教師が生徒のえり好みをするなんて、第一等の罪である。子供のえこひいきに直結するからね。新任時代には、年寄りの教師にずいぶん言われたものだった。曰く、
「あの子が嫌い、なんて言うはおろか、思ってもいけない。絶対に表に現れちゃうんだから!」
まったくその通りである。そして現在の俺も、ひいきをする教師なんてクソだと信じて疑わない。すぐに生徒にも見透かされるしね。まずロクなことがない。

 だが、それでも人間だから、どうしたってウマの合わない生徒もいる。気にくわない性格の奴だって(昨今は掃いて捨てちゃいたいほどたくさん)いる。それを、いろいろな手段を駆使して、うまいこと隠したりごまかしたりして、どうにかこうにか3年間をやり過ごすわけだ。時には、内心気にくわないと思ってた生徒を、周りの先生が
「crabfaceさんはあの子のことかわいがってるモンねぇ」
なんて誤解してることもあったりするんだから、俺の芝居もまんざらじゃないってか。
(まあ生徒だって、そうそう教師を選べないし、成績のことも気になるわけだから、できるだけ波風を立てないように振る舞ってはくれるからね。ひょっとすれば向こうの方が俺を嫌ってストレスを抱えてることだってあるかもしれないし。)

 だが、ここに来て、どうにもこうにも想定外に我慢のできないイヤな生徒が出現した。そいつはまあ、どうすればこれだけあらゆることを悪く取ることができるんだろう、と、開いた口がふさがらないほど、何でもかんでもいびつに曲解してとらえては不平不満を周囲にぶちまけるのを常の楽しみとしている男子で、まあそれだけ理屈をこねることができるんだからそれなりに頭がよく、しかも声がでかくて発言力(もちろん悪い意味で)は抜群。ほどほどに暴力もふるうし意地悪の手管も一通り使いこなしてクラスの他のクズたちもくっついてくるから、まともな奴は沈黙してしまう。こいつ一人でクラスの雰囲気はいともたやすくぶちこわしになり、さらに不良10人前の仕事をしてくれるという悪質なアジテーターである。
 だが、何より不愉快なのは、そいつの言動が中学生の頃の俺の知り合い(もう虫酸が走るほど大嫌いで、俺にとってまさに不倶戴天の男)にそっくりだ、ということだ。やってることが一緒だと容貌まで似てくるのかも知れないが、ちゃんとした身なりをしていても全身から漂ってくる薄汚く貧乏くさい、下品な雰囲気までもがまるで瓜二つなのである。そんな個人的な事情で、というのも困ったものだが、ようするにその生徒は教師であるところの俺から、必要以上に嫌われてしまう、ということになる。

 もちろん、そんな気色は全然見せないようにしおおせるつもりだけどね。

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お茶目な文書

 今度異動した市の教育委員会はなかなか楽しい。今日はこんな文書が回覧された。学校長宛の「事務連絡」で、差出人は市教委の教育長である。以下本文。

    小中学校施設における冬季省エネルギーの取り組みについて(通知)

 このことについて、我が国では現在、地球温暖化防止への対策と燃料資源の有効利用が課題となっており、冬季は…(中略)一層の省エネルギー対策への取り組みが行われています。
 現在、当市においても、これら環境問題に対しては(中略)、学校においても省エネルギー対策への取り組みが求められています。
 つきましては、教育委員会として別紙「小中学校施設における冬季省エネルギーの取り組みについて」を定めました。(中略)内容を順守し、省エネルギーの徹底をお願いします。
 なお、暖房稼働期間に運転状況を適宜確認させていただきます。別紙取り組み内容について守られていない状況(設定温度が20℃以上、(中略)教室の授業時間外の暖房運転等)が確認された場合、修繕費の引き上げ、暖房の使用停止等の措置をとらせていただくこともありますので、留意ください。


ですと。
 すげ~!!罰則付きかい。感動的だ。こういう面白い文書は今まで見たことがない。というか、役所が普通書くかいな。思わず笑ってしまった。マジメにうければ、もし暖房運転を停止した場合、生徒は冷たいコンクリート校舎の中で寒さに震えることになるが、風邪ひいたらどうするんだ、なんてことにもなるのだが…。

そういえば、年度当初にもあったな~。周辺の市との共同で3年生の共通実力テストを行う、という趣旨の文書なのだが、こんな風に書いてあった。

 平成4年10月、県教育委員会から「偏差値によらない進路指導の徹底について」の指示が出され、それ以後、中学校でのいわゆる業者テストが完全に廃止されました。そのため、中学校では生徒の学力についての客観的な資料が不足し、生徒一人ひとりの良さを生かした進路指導の推進が大変困難な状況になっています。現在、客観的な進路指導の資料が不十分であることが、生徒・保護者への不安を招き、適正な進路指導の推進に大きな障害となっています。

おもしれぇ~~!!!こんなにハッキリと言っちゃえるものなのか、と、すごくびっくりしたぞ。まさにクリーンヒットな文面である。こういうことがストレートに言えるなんて頼もしい。今までいた(古色蒼然たる体質の)市では考えられない。所変わればいろいろ違うモンだな。

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担任の代わりに給食指導

 紙屑だらけの床である。部屋のすみっこに置かれたゴミ箱はひっくり返されていて、いっぱい詰まった紙だのなんだのが周辺に散らばっている。乱雑に並べられた机の群れ。後ろの棚の上はクシャクシャに脱ぎ捨てられた制服やら、配られたプリントが秩序もなく積み上げられて、チョークの粉にまみれている。そこの背面黒板には各種お知らせの紙が何枚もセロテープで貼ってあるが、そのすべてが上っ側は剥がれ、下側のテープで首の皮一枚、という風情で垂れ下がっている。軽薄な今時の歌謡曲がけたたましくスピーカーから流れている。
 その荒んだ教室に、40人近い中学2年生がゴチャゴチャと存在しているのだ。本来廊下と反対側にある窓の外のベランダには出てはいけないことになっているのだが、数名の女子が出入り用の扉を開け放ち、隣のクラスといったり来たりうろちょろしてる。そっちでもこっちでも数人ずつの集まりがあって、大声でわめいている。そうしないと会話が聞き取れないのだ。ドタバタとあたりを走り回ってる男子も数名。そこら中の机にぶつかったりかすったりして、そのたびに、筆箱とか雑多なものが床に落っこちる。2人の男子が、ボクシングのファイティングポーズをして、一人の男子をからかっている。やられている方は、弱っちくていつもニコニコしている奴だ。こりゃかなりイジメに近いかもしれない。廊下では若い副担任や教頭先生が、ふらふらしてる男子生徒数名(教室にいるのがイヤでいつも入らなければいけない時間に教室に入ってこない)を教室に押し込めようとして悪戦苦闘している。こっちに向かって、「メガネとってもいいの?」とトンチンカンなことを問いかけてくる知的障害の生徒もいる。そして、驚くべきことに、そんな喧噪の中、夢中で読書にふけっている生徒もまた、何人もいるのだ。

 一体これはなんの光景かというと、なんと、給食準備の時間なのだ。俺は今日、突然休んだ担任の代わりに、このクラスの給食指導に来ている。そして、ここまで書いてきたいろいろの出来事に対していちいち大声で文句を言いながらも、どっちかというと茫然と突っ立っている状態なのである。俺が腕組みをして後ろの壁に寄っかかっていると、いつもはまつろわぬ男子(低学力で反抗的)がすぐ側に来て俺と同じポーズで突っ立ったりして、人の気を引こうとする。
 とてつもない不衛生と無秩序の支配する中、当番の生徒は黙々と配膳を進めている。こればっかりは、やらないと飯が食えないからね。班のテーブルクロスを誰が敷くか、で最前からもめていた連中の班は、結局そのテーブルクロスを引っ込めてしまったようだ。最後に、いつもの時間には見慣れない俺に向かって、「先生、給食食べるの?」と当番の女子がよそよそしさ満点の口調で叫び、俺が頷くと、教卓に給食の皿を一人分、ドカッと置き、給食準備が終了した。すると、それまでの喧噪がウソのように、ほとんどの生徒がササッと着席する。人間という動物は不思議なものだ、と実感する。
 当番が「いただきます」と叫ぶと、なんのリアクションもなく皆々食べ物を口に運び始め、給食が始まった。


 (そして、それでも職員室で食べるよりは、こうやって生徒と一緒に食べた方が、給食はおいしくいただけるのだ。それが教員である。)

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どうしようもなく何でもないこと

 その日、ある中学2年生の男子が下校途中、公園のベンチに座っていた。友達も2人ほど一緒である。いつもならそんな道草はせずサッサと家に帰っちゃうのだが、たまたまその日はいつも一緒に帰る友達が生徒会の役員選挙に立候補し、立合演説会のリハーサルがあるのでそれが終わるのを待っていたのだ。学校にいると
「とっくに下校時間だぞ!」なんて、先生にドヤされるからね。
で、仲間と何気ない会話を交わしながらふと見ると足下に木片が落ちている。彼は何の気なしに持っていた十徳ナイフをカバンから取り出し、その木片を当てもなく削ったり切り刻んだりし始めた。すると、その作業が面白かったのか、数人の小学1年生の男の子が集まってきて、彼の手元をじっと見つめているのであった。そこで、珍しがるチビどもに十徳ナイフの機能を見せびらかしたりして感心させたりしてるうちに、待っていた仲間も合流し、帰宅の途についた。彼の何でもない1日はこうして何でもなく終わった。さて…。


 俺がいつものように部活の朝練に参加しよう、と出勤してみると、朝も7時30分というのに生徒指導担当の先生が血相を変えている。教頭先生をはじめ居合わせた屈強な先生を数人連れてすっ飛んで出て行ってしまった。何でも話によると、ウチの中2の生徒が近所の小学校の1年生に刃物を突きつけて、「死ぬか?」と脅したという。しかも同じ児童が以前にもやられていて、その生徒から顔を覚えられているかもしれない、ということで保護者も浮き足だっている、と。こりゃ警察も関係するかもしれない大事件だ!
 生徒指導用の写真を当該の児童に見せたところ、数人いたといううちの一人が特定されさっそく呼び出して事情聴取、と相成った。
 これが先週の出来事だ。

 それにしても、かわいそうな子供達である。いったい何の因果でこんな、俺たちがガキの頃なら話のネタのうちにも全然入らないようなどうでもいいことが、バカみたいな大騒ぎになってしまうのか。ま、大人にも言い分はあるな。
1:刃物を持ち歩くなんてトンでもない。ぜったい御法度だ。俺たちなんかは肥後守だとかボンナイフだとか、持っているのが当たり前だったが、そんなのは、今は昔の物語。これまで、少年による刃物の事件がどれだけあったのか。黒磯の中学校では女教師が刺し殺され、埼玉県でも福岡県でも生徒同士の刃傷沙汰で子供が死んだ。今じゃ学校にナイフを持ってくるのはほとんど禁止であろう。校長によってはハサミさえも厳禁している学校もある。(俺はその学校に勤務していて、それはそれは不便だったものだ。)それなのに、何でこの生徒は十徳ナイフなんか持ち歩いていたのか。
2:「死ぬか?」というセリフはどんな雰囲気で、どんな場面で発せられた言葉なのか。それを聞いた小学生はどう受け取ったのか。恐怖を感じたのか?それとも終始和やかなムードだったのか?そもそも「死ネ!」という、俺たちがガキの頃なら、うっかり発すれば大人からの拳骨が飛んできそうなセリフも、今じゃごく当たり前の、挨拶のように使われている。嘆かわしいのは確かだが、子供達のこの乱れた言語環境をどうにかできる力は、大人にはないのが現状だ。であるにもかかわらず、やっぱり言われてしまう、「彼はなぜ、死ね、と言ったのか」

…というわけで、こんな「フツーの感覚」を持つ人間にとって「どうしようもなく何でもないこと」が、本人にも信じられないような影響を周囲に与え、何が何だかわからないうちに殺気だった先生(たち)に取り囲まれ詰問され、彼らは「大人不信」をつのらせていく。救いようのない子供受難の時代じゃないか。

まあそれが現代だ、と言えばそれまでなんだけどね。

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